ヌカハニーは、抗菌物質であるメチルグリオキサール(MGO)が含まれるために、口腔ケアやピロリ菌除去に有効であり、健康増進のために、ニュージーランドでは生活に欠かせないほどに愛食されています。これまでも様々な角度から、マヌカハニーの健康増進効果について紹介してきました。

しかしながら、一方でMGOの健康に対する影響について東北大のグループによる研究報告があり、その危険性を指摘する見方も出てきています。そこで、MGOを含有するマヌカハニーは、ヒトの健康を増進させるのか、それとも逆に危害を及ぼすのか、最近の研究報告を参考にして、私見を述べたいと思います。

先ず、東北大学グループの研究報告から勉強しましょう。
内因性のMGOに関する報告と外因性のMGOに関する報告があります。この内因性のMGOとは、体の中で発生するMGOのことで、外因性のMGOとは、体の外から摂取するMGOのことです。

内因性MGOに関する研究報告ですが、報告内容を要約して分かりやすく言うと『内因性MGOが増えると2型糖尿病患者の動脈硬化や高血圧が進行する。』。少し難しく言うと『患者の病態悪化は血漿中MGO濃度の上昇と相関がある。』というものです。

内因性MGOは、脂肪酸、アミノ酸、そして、炭水化物などの分解によって、体の中で作られるものですが、特に、ブドウ糖などの単糖から多く作られていますので、健常者においても血漿中に存在しており、血糖値の高い糖尿病患者では、当然、内因性MGOの値はさらに高いことになります。

近年、タンパクの『糖化』が『老化』や『病態悪化』に関与するとして注目されておりますが、MGOのタンパクへの糖化反応性は、ブドウ糖に比べ、1万倍高いことが分かっております。その観点からも、この報告は興味深く、内因性MGOを減らすことによる『抗糖化』は、抗老化だけでなく健康維持のために大変重要だと考えられます。

もう一つの外因性MGOに関する研究報告は、『外因性MGOはラットにおけるインスリン抵抗性を高める(糖尿病を発症するリスクが高まる)』というもので、高濃度のMGOを含むエサを4週間摂取させると『糖化』化合物(AGEsという)量が増えることを確認しています。ただ、 このMGO摂取量は体重60kgのヒトに置き換えるとMGOが400mg/kg含まれるマヌカハニーを毎日6.5kg摂取した計算になり、そのように大量のハチミツを毎日摂取することは、非現実的 に思えます。

次に、2013年に出された外因性MGOに関するトーマス・ヘンレ教授の報告を紹介します。
この報告では、MGOを含む食品を摂取した際の消化管内のMGOの変化を調べています。下図の通り、pH2.0の人工胃液内でMGOの消失はありません。これは、マヌカハニーのMGOがピロリ菌に有効であることを示しています。
そして、2時間後、胃を通過して小腸に移動した際には、小腸液中に存在するタンパク質(トリプシンやパンクレアチンを代表とする)と反応し、摂取したMGOが減少していくことが示されています。
この結果は、MGO単独摂取であっても、マヌカハニー摂取であっても同様でした。

また、タンパク質と反応しなかった少量の食事由来のMGOは、小腸から吸収される際に小腸内皮細胞に存在するグリオキサラーゼ(MGOを乳酸に変化させて解毒する酵素)によって殆どが乳酸に変化することもリチャードらの報告によって知られています。

さらに、ヘンレ教授は、4人の健常者にMGOを摂取させて、尿に含まれるMGOや糖化化合物を測定したところ、MGO摂取による影響はほとんど認められないことも示しています。

これらの報告をまとめると以下のようになります。

内因性MGOは糖尿病患者血液中で値が高く、動脈硬化や高血圧と関連するなど問題であることが東北大学の研究グループによって明らかにされました。
しかし、外から摂取する外因性MGOの量は、それがたとえMGOが高濃度に含まれるマヌカハニーであったとしても、内因性のMGOの生産量と比較するとごく微量であり、胃は通過するものの、小腸において食べ物や消化酵素などのタンパク質と反応し、体内には殆ど入らないことが示されました。
さらに、吸収されるべく小腸内皮細胞を通過する際には、解毒システム(グリオキサラーゼ酵素)によってMGOは乳酸に変えられますので、体内に入る量は微量となります。

以上の点から、 マヌカハニー摂取による健康リスクは健常人において無視できるレベル と言ってよいと思われます。
そして、健康増進や維持のためにも、マヌカハニーはオススメの食品だと考えられます。
ただ、好きだからと言って、数kgといった無謀な摂取はカロリー過剰摂取の点で、もちろん、避けるべきですが。