日本マヌカハニー協会 一般社団法人 Japan Manuka Honey Association
ニュース

グリホサート検出に関する報道について

2020.08.18

先日、マヌカハニー製品より除草剤の成分として知られているグリホサート(IUPAC名N-(phosphonomethyl)glycine)が検出されたことについて国内外で報道*1*2がされました。

*1:Weed-killer glyphosate found in New Zealand’s manuka honey, 26 July, 2020

*2:新型コロナで人気沸騰の高級蜂蜜から発がん性疑惑農薬, 16 August

報道内容は、ニュージーランド第一産業省(MPI)が行った検査報告*3にて、検査されたハチミツサンプルの20%以上から発がん性を指摘されている成分「グリホサート」が検出されたというものです。

*3:New Zealand National Chemical Residues Programme Report by New Zealand Food Safety, 2020/02

そもそもグリホサートとは?

グリホサート(IUPAC名N-(Phosphonomethyl)glycine、CAS No. 1071-83-6)は、アンモニウム塩、イソプロピル塩またはカリウム塩として製剤化されており、作物を育てる際に散布する除草剤ラウンドアップの成分として知られています。

安全性は?

国際がん研究機関(IARC)によると、グリホサートは、赤肉、65℃を超える熱い飲み物などとともに、グループ2A(おそらく発がん性があり)に分類されています*4
日本では、内閣府食品安全員会の食品健康影響評価にて、グリホサートの一日摂取許容量*5を1mg/kg-体重/日と設定するとの通知がされております*6。(例えば、体重60kgの方の場合、1日摂取許容量は60mgとなります。)
そこで、各作物中にグリホサートが残留しているか検査が行われ基準値が設けられています。

*4:IARC, List of Classifications

*5:一日摂取許容量: 人がある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても健康に悪影響が生じないと推定される一日当たりの摂取量。

*6:内閣府食品安全委員会, 食品安全総合情報システム

グリホサートの基準値は?

ニュージーランドではグリホサートの残留基準は、0.1mg/kg未満と定められており、日本でのポジティブリストの基準の上限は0.01mg/kg未満と定められています。

検査報告によりますと、2017年から2018年に行われた検査では、ニュージーランド国内から集めたハチミツサンプル300製品(ハチミツ原料270製品および市販品30製品)を対象として検査が行われた結果、233製品(77.7%)中のグリホサートは検出限界以下であり、62製品(20.7%)から基準値以下のグリホサートが検出されました。(図1)また、ハチミツ原料270製品中の5製品(1.7%未満)から基準値を上回るグリホサートが検出されましたが、市販品30製品は基準値を上回る製品はないとの結果でした。

図1. 2017年から2018年に実施されたグリホサート検査結果
図1. 2017年から2018年に実施されたグリホサート検査結果

(参考:New Zealand National Chemical Residues Programme Report by New Zealand Food Safety, 2020/02)

また、グリホサートが検出された製品のうち69%がクローバーハチミツや百花蜜を含むものであることがわかりました。このことから、マヌカハニー製品から農薬成分が検出された原因として、マヌカ以外の植物から採れた蜜からグリホサートが混入した可能性が示されています。

その後、2018年から2019年に行われた検査ではモノフローラルまたはマルチフローラルであるマヌカハニー製品60サンプル(市販品)を対象として、検査が行われ11製品(18.3%)に基準以下のグリホサートが検出されました。

尚、当協会賛同企業で取り扱われているマヌカハニー製品については、ニュージーランドの基準を満たした製品であることがわかっております。

まとめ

本報道を受け、当協会ではHMFとともに、マヌカハニー製品を選ぶ品質基準としてグリホサートの認知度を高め、すべての消費者が適正な品質管理がなされたマヌカハニー製品が購入できるよう、賛同企業のご協力のもと、国内市販製品の分析と情報の発信を行ってまいります。