日本マヌカハニー協会 一般社団法人 Japan Manuka Honey Association
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ニュージーランド産ハチミツ、その加工品輸入時のグリホサート検査の義務づけについて

2021.01.26

昨年、マヌカハニー製品より除草剤の成分として知られているグリホサート(IUPAC名N-(phosphonomethyl)glycine)が検出されたとの報道について、当協会でもご紹介*1いたしましたが、この度、2021年1月8日付で、厚生労働省より、輸入食品(ニュージーランド産ハチミツ、その加工品)を対象としてグリホサートの検査の実施が義務付けられることとなりました。

*1:グリホサート検出に関する報道について, 18 August,2020

*2:厚生労働省 輸入者輸入食品に対する検査命令の実施, 8, January, 2021

グリホサートは、日本でのポジティブリストの基準として、上限0.01ppm(0.01mg未満/kg)と定められていますが、2020年に厚生労働省が実施した検査では、日本に輸入されたニュージーランド産ハチミツ57件中2件がこの基準に違反していたとの結果でした。

そもそもグリホサートとは?

グリホサート(IUPAC名N-(Phosphonomethyl)glycine、CAS No. 1071-83-6)は、アンモニウム塩、イソプロピル塩またはカリウム塩として製剤化されており、作物を育てる際に散布する除草剤ラウンドアップの成分として知られています。

安全性は?

国際がん研究機関(IARC)によると、グリホサートは、赤肉、65℃を超える熱い飲み物などとともに、グループ2A(おそらく発がん性があり)に分類されています*4
日本では、内閣府食品安全員会の食品健康影響評価にて、グリホサートの一日摂取許容量*5を1mg/kg-体重/日と設定するとの通知がされております*6。(例えば、体重60kgの方の場合、1日摂取許容量は60mgとなります。)

そこで、各作物中にグリホサートが残留しているか検査が行われ基準値が設けられています。

*4:IARC, List of Classifications

*5:一日摂取許容量: 人がある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても健康に悪影響が生じないと推定される一日当たりの摂取量。

*6:内閣府食品安全委員会, 食品安全総合情報システム

参考 : ニュージーランド産ハチミツの輸入実績(平成31年4月1日から令和3年1月6日まで:速報値)

年度 届出件数 届出重量(トン) 検査件数* 違反件数
令和元年 1,206 769 0 0
令和2年 1,451 1,197 57 2

*:グリホサートに係る検査件数

引用:厚生労働省 輸入者輸入食品に対する検査命令の実施, 8, January, 2021

今後は、日本に輸入されるすべてのニュージーランド産ハチミツのグリホサート検査が義務付けられることとなり、マヌカハニーを含むニュージーランド産ハチミツの関連業者、消費者の皆様の品質問題に対する意識が高まることが期待されます。

一方で、国内で流通するマヌカハニー製品は、グリホサートだけでなく、依然としてMGOやHMFといった品質問題*3を抱えております。当協会では、今後も正しい表記、適正な品質管理が行われるよう、国内のマヌカハニー市販製品の分析と情報発信を行ってまいります。

*3: マヌカハニー製品のMGO・HMF含量分析調査の実施